【転職】介護・福祉の仕事・年収アップを目指すための近道

【転職】介護・福祉の仕事・年収アップを目指すための近道

介護をはじめとする福祉のお仕事は重労働で低賃金というイメージがついてしまっています。実際のところ、「令和3年度介護従事者処遇状況調査結果」では介護職員平均給与は31万6,610円で、年収にすると約380万円ですので、やはり賃金は安いですね。

しかし、あくまで平均給与ですので、従事している事業内容や取得している資格、勤続年数、年齢によってこの数字から多少の増減はあります。国税庁による「民間給与実態統計調査」では2021年の平均年収は443万円(平均年齢46,9歳)といわれています。

平均年収伸び率うち社員伸び率うち社員以外伸び率平均年齢平均勤続年数
5,45万3千円2.5%5,69万9千円3.6%2,6万68千円17.2%46.9歳14.2年
3,02万0千円3.2%3,88万9千円1.4%1,6万23千円5.9%46.8歳10.4年
4,43万3千円2.4%5,08万4千円2.6%1,9万76千円12.1%46.9歳12.6年
出典:令和3年分 民間給与実態統計調査

結論を言いますと、介護・福祉の世界で平均年収を超えることは可能です。

この記事では福祉業界に転職を考えている方を対象に、できる限りコスパが良い方法で介護の資格を取る方法。年収を増やしていく方法を紹介します。

私は4年生大学卒業後、無資格・未経験で介護老人保健施設につとめました。3年間の実務経験を得た後、介護福祉士を取得しています。同時に社会福祉士の受験資格を取るための通信教育を受けていましたので、社会福祉士の国家試験も受験し、合格しました。

資格を取り、転職をし、キャリアを重ねることで40代の現時点において、年収500万円を稼ぐことができています。

介護・福祉の仕事を続けていく中で将来的な収入の不安を感じる方も多いです。実際に私も同じように不安を感じていました。20代、30代で平均年収を上回る、もしくは到達することは難しいです。条件としては、資格を取って手当をもらうこと。職場に福利厚生が整っており、定期的な昇給があること。経験年数を重ねて基本給を上げていくことが挙げられます。年収500万円は平均年収を超えていますが、決して高い給料ではありません。税金を引くと手取りは約390万円ほど。月の手取りが約24万円で年2回のボーナスをもらうという感じです。独身であるか、所帯があって子どもが何人いるか。配偶者の年収がどれくらいかによって暮らしぶりは違いますが、大切なのは、少しでも早い段階で資格を取り、給料を増やすこと。自分にあった良い環境の仕事を見つけること。そして、その仕事を続けていくうえで、どこまでの幸福感を得られる状態にまでもっていけるかです。

福祉の仕事は人の暮らしを支え、関りを持つことで自身も人間として成長できる素晴らしい仕事であると思っています。

2025年には、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上の後期高齢者となります。これは2025年問題と呼ばれ、高齢者福祉においては今後サービスの需要がさらに増大しますので、この機会に転職をお勧めします。また、障害分野においても、障害者の高齢化が課題となっています。高齢分野での経験は障害分野でも活躍が期待できます。

この記事を読んで欲しい人

介護・福祉の業界に転職を考えている人

福祉の業界でキャリアップを目指している人

介護・福祉の仕事で安定した給料を得るためには
資格を取る
介護のスキルを身に着ける
経験年数を経て出世する
福利厚生の整った職場に転職をする

ということが必要です。

「給料が安い」と不満を言うだけではどの業種でも給料は上がりません。資格を取るだけでも将来は安泰ではありません。

自分を個人事業主であると考え、スキルを身に着け、法人内での出世を目指すと同時に自分を好条件で雇用してくれる職場に必要に応じて転職をする。場合によっては独立をすることが年収アップにつながります。

まずは資格を取る

介護・福祉の現場は無資格未経験でも働くことが可能ですが、資格があると時給が上がりますし、資格手当もつきます。介護の資格で代表的なのが以下の3つです。

1 介護職員初任者研修

2 介護福祉士実務者研修

3 介護福祉士

介護職員数
(集計結果)
平均年齢
(単位:歳)
平均勤務年数
(単位:年)
実労働時間数
(単位:時間)
平均給与額
(単位:円)
介護福祉士18,03645.09.5163.2328,720
介護福祉士実務者研修1,98845.07.7165.6307,330
介護職員初任者研修5,37346.78.1164.6300,510
保有資格なし1,66740.65.2164.2271,260
出典 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護従事者の平均給与で保有資格なしの場合、27万1,260円。初任者研修取得者の場合は30万510円。その差額は2万9,250円と年間で30万円以上の差があります。

資格を取るためには一定の時間と費用が必要であるため、できる限り早く取得しておくことで、かかった研修の費用を回収できます。

介護職員初任者研修

まず最初にとっておきたい資格です。過去にはヘルパー2級と呼ばれていたものが2013年4月1日の介護保険法規則改正によって誕生しました。この資格は介護の入門資格です。

介護職員初任者研修という名の通り、介護の仕事に全く従事したことがない方のための研修です。「講義」と「実技演習」を受けることで介護業務に必要は基礎知識と技術を学ぶことができます。

基本的な介護の業務として、「生活支援」と「身体介護」の二つに分けることができます。「生活支援」は料理や洗濯・掃除などの家事援助のことです。「身体介護」とは直接利用者さんの体に触れる支援で、食事・入浴・排せつなどです。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設では介護業務を行うにあたり、資格は必要ありませんが、訪問介護をする場合には初任者研修を受けていないと「生活支援」は行えますが、「身体介護」を行うことはできません。もし福祉の仕事を訪問介護から始めるのであれば必須の資格と言えます。

この資格はスクールに通い、最短1か月で取得できます。資格取得費用はスクールによって異なりますが約5~10万円です。130時間の受講時間を必要としますが、その内訳として、40時間の自宅学習と90日間の実技スケジューリングを終え、最後にテストを受けて合格すれば資格が取得できます。

受講者を落とすための試験ではないので、授業をしっかりと受けて学習さえしていればほぼ誰でも受かる内容ですので、安心してください。

スクールの通い方

実際に介護の現場に転職をし、働きながらスクールに通う方も多いです。この場合、週1回スクールに通い、約3か月で取得できます。

現在、仕事をしていて、将来的に介護の仕事への転職を考えている場合には在職中に資格を取っておくことをお勧めします。その方が転職後に資格手当がつく状態で働くことができるのでお得ですね。介護現場はどの事業所も人手不足のため、無資格の人も歓迎していますが、中には要資格の事業所もあります。選択肢を広げるためにもできれば事前の取得をお勧めします。

介護福祉士実務者研修

初任者研修の上位資格にあたります。初任者研修が基礎的な知識と技術の習得を目標としているのに対し、実務者研修はすでに介護サービスに従事している者がより、質の高い介護サービスを安定的に提供していくことを目標にしています。

実務者研修を取得しているということは、介護士として一定の知識や技術を保有している証明になり、就職・転職時にはさらに有利になります。

訪問介護事業所で働く場合には訪問介護事業所の責任者であるサービス提供責任者になることができます。そのほか、実務者研修とは別に「喀痰吸引等研修」を修了することで、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアも行えるようになります。

費用は無資格の場合で約10~20万円で,450時間の受講期間が必要です。学習期間は約6ヶ月です。しかし、初任者研修を取得している場合には130時間分の受講期間が免除となり、学習期間は約4ヶ月に短縮できます。また費用も約7~15万円に抑えることができます。

初任者研修を受けず、最初から実務者研修を受けることも可能ですが、費用が高いのと受講期間も450時間と非常に長いです。働きながら資格を取っていくことを考えると、先に初任者研修から受けておく方がコスパ的にもお得ですね。

介護福祉士

介護福祉士は専門職として、介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格です。

ちなみに私が介護福祉士を取得したのは2005年です。当時は介護福祉士実務者研修は存在せず、3年間の実務経験があれば受験可能でした。一次試験は筆記で、これに合格をすると後日、実技試験に合格することで介護福祉士を取得できました。

しかし、2017年より、介護福祉士国家試験を受験するためには、介護業務で「3年以上の実務経験(従業期間1,095日、従業日数540日以上)」と「実務者研修の受講・修了」が義務付けられています。私が国家試験を受けた時と比べると、長期間の学習時間と多額の費用が掛かるようになり、受験のハードルは上がっています。

介護の現場においては医師、看護師、リハビリ専門職らとのチームケアが行われます。チームケアにおいて、介護の専門職としてより質の高いサービスを提供すること。また、介護職もグループでサービスを提供するため、指導者・リーダーとしての役割が求められます。

介護福祉士は一度取得すれば更新の必要もありません。資格を取得することでさらに高い資格手当をもらえる可能性がありますので、実務者研修を取得し、実務経験を積んだ際には受験をお勧めします。

介護福祉の合格率は?

介護福祉国家試験について、公益財団法人社会福祉振興・試験センターによると、次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者としています。

ア 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。

イ アを満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者。

とされています。令和3年度は受験者数83,082人の内、合格者は60,099人でした。この数年は69~73%の合格率になっていますが、しっかりと勉強をして、受験に挑めば合格は難しくありません。

年度合格者数受験者数合格率
第34回 令和3年度60,09983,08272.3%
第33回 令和2年度59,97584,48371.0%
第32回 令和1年度58,74584,03269.9%
第31回 平成30年度69,73694,61073.7%
第30回 平成29年度65,57492,65470.8%
第29回 平成28年度55,03176,32372.1%
第28回 平成27年度88,300152,57357.9%
第27回 平成26年度93,760153,80861,0%
出典 第34回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

試験対策と費用

試験対策は独学、もしくはスクールを利用します。

スクールを利用する場合、期間は1~6ヶ月。費用は11,000~3,5000円。受講方法を通信、通学にするかで費用も変わります。

試験の受験料は15,300円。 

合格後には登録料がかかります。登録免許税9,000円と登録手数料3,320円を合わせ、合計で12,320円です。

初任者・実務者研修の費用を抑え、お得に受ける方法

教育訓練給付制度を利用する。

教育訓練給付制度とは、働く人の主体的な能力開発を行うこと。またキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるもので、初任者研修の場合は費用の20%が支給されます。

例:初任者研修 受講料が8万8000円の場合、17,600円が給付

この制度は在職中にも利用できます。転職前に活用することで、有資格者の場合は転職活動も優位に進めることができます。

母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業を利用する

これは母子家庭、もしくは父子家庭において、所得や就業の状況に困難を抱える家庭を対象とし、経済的な自立を支援するため、各都道府県・市・福祉事務所設置町村による自治体が窓口となって就業支援に取り組んでいます。受講料の60%が給付されます。
ただし、居住している自治体に制度を設けていない場合には支給を受けることができないので、事前に調べておく必要があります。

ニチイのスクールのキャッシュバック制度を利用する

ニチイでは「受講料キャッシュバック制度」と「介護職員資格取得支援制度」の2つの制度があります。「介護職員職員初任者研修」または「介護福祉士実務者研修」を受講した後、ニチイのスタッフとして就職し、所定の条件を満たすと受講料が実質0円になります。

出典 割引情報一覧|ニチイ まなびネット

【かいご畑のキャリアアップ応援制度を利用する】

介護求人専門サイトのかいご畑は厚生労働大臣認可の介護就職支援センターです。かいご畑は介護資格を持つコーディネーターが希望を聞きとり、転職活動を応援してくれます。このかいご畑には働きながら無料で介護の資格を取ることができるキャリアアップ応援制度があります。

実務者研修にかかる費用の135,000円、介護福祉受験対策講座1,6000円を無料で受講できます。

条件としては、受講開始時に、かいご畑の運営会社であるニッソーネットの派遣スタッフとして就業している必要があります。また、一定期間内に退職した場合は受講料の全額または一部の支払い義務が生じるので、ご注意ください。

キャリアアップ応援制度あり!介護職のキャリアアップなら介護専門求人サイトかいご畑


介護のスキルを身に着ける

経験年数を重ねる中で介護のスキルを身に着けることは後のキャリアアップや転職をする場合に大きく影響します。介護における全般的なスキルを身に見つける場合、福祉施設で働くことをお勧めします。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム等)や介護老人保健施設は24時間体制で高齢者の介護をします。昼夜を通して利用者さんの暮らしに携わることで、福祉サービスを利用される高齢者の介護をトータル的に学ぶことができます。

令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、会議従事者の平均給与で一番高いのが特別養護老人ホーム(34万5,590円)。次に介護老人保健施設(33万8,390円)です。

どちらも夜勤をするので、日中だけのサービス事業所と比べると給与は高い傾向にあります。

令和3年
介護職員数
(集計対象数)
平均年齢
(単位:年)
実労働
時間数
(単位:時間)
平均給与額
(単位:円)
全体常勤23,44844.7163.6316,610
非常勤50951.9101.3198,520
介護老人福祉施設常勤73,1340.8163.0345,590
非常勤7948.1126.7202,950
介護老人保健施設常勤3,30341.7158.9338,390
非常勤3250.4136.4289,050
介護療養型医療施設常勤17046.6162.3287,070
非常勤
介護医療院常勤1,74845.1154.4307,550
非常勤1750.5119.8215,610
訪問介護事業所常勤1,78948.6164.7314,590
非常勤15953.089.2201,120
通所介護事業所常勤1,30545.5165.2278,180
非常勤8749.5113.0173,190
通所リハビリテーション事業所常勤1,83745.2161.3297,980
非常勤3649.1116.6218,830
特定施設入居者生活介護事業所常勤1,70942.8167.2319,760
非常勤1852.6136.4231,250
小規模多機能型居宅介護事業所常勤1,88546.2164.1289,520
非常勤4351.6139.8235,270
認知症対応型共同生活介護事業所常勤2,38947.6164.5291,460
非常勤3653.6117.4189,600
出典:厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 第82表介護職員の平均給与額等(月額の者)、サービス種類別、勤務形態別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所

特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホーム(以下特養)はサービスを受ける高齢者が長期にわたる安楽な生活を送るということが目的になります。基本的に利用者さん本人が退所を希望される場合や継続的に生活することが困難になった場合をのぞき、看取りまで介護をすることが多いです。しかし、介護保険法では「可能な限り、居宅における生活の復帰を念頭において、サービスの提供を行う」とされています。在宅への復帰がまったく可能性がないわけではありません。

入所対象:65歳以上で要介護3以上の方が入所の対象となります。

要介護3以上とは、身辺処理(掃除、身だしなみ)や排せつ、歩行などの日常生活に必要な行動に関して常時介護が必要な状態ですので、介護度が比較的重い方です。

特養の特徴としては、入所されている方にとっては自宅同様の暮らしの場ですので、主にレクリエーションや余暇活動が充実しています。

特別養老人ホームの種類

特別養護老人ホームは「従来型」と「ユニット型」の2種類があります。それぞれの個性と方針の違いについて説明します。

【従来型】居室は主に4人の相部屋で、大勢の利用者を大勢のスタッフで介護するのが特徴です。従来型は特別養護老人ホームの基本的な運営形態のため、大勢で支援に携わることから新人スタッフの場合は最初から先輩職員に教わりながら支援をすることができます。スタッフの人数が少なくなる夜勤でも、複数人で対応しています。

厚生労働省 介護老人福祉施設(参考資料)より転載

【ユニット型】は従来型とは異なり、少人数の利用者を少数のスタッフで介護するのが特徴です。各利用者さんは個室で対応し、施設でもより家庭の環境に近い作りになっています。

厚生労働省 介護老人福祉施設(参考資料)より転載

特別養護老人ホームで働くメリット

まず、平均値ですが給料が高いことです。入所対象者を要介護3以上となっていることから、介護度の高い高齢者を介護することになります。その分、事業所としての介護報酬は高くなりますので、給与に反映されます。

利用者さんの入れ替わりがない分、同じ利用者を長期的な視野を持って介護することができます。利用者さんの対して親密に関り、介護をすることができます。

特別養護老人ホームで働くデメリット

要介護度が高い方が多いため、体力的な負担は大きくなります。介護度が高い方の場合、寝たきりであったり、身体介助を必要とする利用者さんの人数が多い場合もあります。事業所によって介護士の人手が不足している場合、一人当たりの業務負担は大きくなってしまいます。

介護老人保健施設とは

入所の条件:65歳以上で要介護1以上の方が入所の対象となります。

介護老人保健施設(以下老健)は入所期間が基本的に1~3か月と定められています。入所される方は主に病気や怪我などが原因で病院に入院し、退院後に在宅へ戻っても介護が難しい場合に介護老人保健施設を利用します。介護老人保健施設は入院による体力の衰えや機能回復のため、介護を受けながらリハビリをすることで在宅復帰を目指すための【病院と家とをつなぐ中間の高齢者施設】という役割を担っています。

老健で働くメリット

老健では医師、看護師、リハビリ専門職が配置されており、医療的なケアやリハビリが充実しています。在宅への復帰を目指すにあたり、医師・看護師・支援相談員・リハビリ専門職・介護士による多職種のチームアプローチによる支援体制が取られています。介護だけでなく、医療ケアやリハビリに関する知識を学ぶことができます。

利用者さんが定期的に入れ替わることから、多くの方の支援に携わることができます。

特別養護老人ホームと比べると入所される方は在宅復帰を目指し、短期間の入所をされることから、介護度は低い傾向にあります。しかし、事業所によっては介護度の高い方を多く受け入れている場合もあります。

老健で働くデメリット

老健は暮らしの場ではなく、あくまで在宅復帰を目指すということを目標に掲げているため、医療とリハビリがサービスの主となります。機能としては病院に近いため、余暇の過ごし方やレクリエーションなどはあまり重要視されない傾向にあります。

3か月という限られた期間の中で生活の機能を向上するという目標を達成する必要があります。一度に何十人という利用者さんをケアするため、日中の入浴介助や食事など、支援はかなりあわただしくなってしまいます。

入所施設で働くポイント

自分の働きたい目的に合った職場を選ぶ

どちらの施設も24時間の介護をするという点では共通しています。仕事を続けていく中で利用者さんの暮らしの豊かさを重視したいと考える場合には特養。リハビリによる機能向上や多くのケースに携わりたいとく場合には老健になります。

私の勤めていた老健は介護度の高い方が入所されていました。喀痰吸引や経管栄養の方もいましたので、介護度の軽い方から重度の方まで幅広く介護に携わることができました。

特養、老健では施設内での委員会活動があります。事故防止、虐待・権利擁護、感染症予防、レクリエーション、栄養管理など。後のキャリアアップには、これらの委員会に積極的に参加し、委員長を務めるのも転職には有利にはたらきます。

上司、同僚のとのコミュニケーション

福祉現場ではひとりの力よりも複数名で協力し合うことが大きな力になります。上司や同僚と円滑にコミュニケーションを取り、新人の時にはコーチャブルな人材として上司、先輩職員から積極的に学ぶ。また、経験年数が増え、後輩の職員ができた場合には適切なコーチングをすることが求められます。

出世は基本的には年功序列が重視される傾向にありますが、働き方によってはユニットのリーダー、主任に抜擢されることもあります。あくまでの職場を大切にすること、同僚や利用者さんのことを大切に考え、真摯に業務に取り組むことで適切な評価を得ることができます。

福祉施設では転職の際、場合によっては転職先から前職場に評価の問い合わせがあります。職場のすべての人から良い評価を得ることは不可能ですが、上司や同僚とコミュニケーションがうまく取れず、トラブルが多い、遅刻や欠勤が多い、業務中の事故が多い場合には採用に大きく影響します。

キャリアプランを考える

現在の職場で仕事を続けるか、転職を考えるか?

仕事を続ける中で気になるのは今後給与がどれくらい増えていくかです。現時点で基本給が高く、毎年昇給がある。処遇改善加算、特定処遇改善加算がある。福利厚生が手厚く、将来的に収入が安定している場合には仕事を続けていくのが良いと思いますが、将来的な不安がある場合には転職を考える必要があります。

実際のところ、私自身は転職をすることで基本給が約5万円上がりました。前職は上司や同僚との関係も良好で、老健での業務も好きでしたが、不安だったのは給与に対する将来性でした。転職先が特別給料が良いというより、前職の基本給がかなり低かったのです。私が転職を決意したのはその部分にあります。しかし、無資格未経験の私を受け入れ、手厚く指導をし、大切にしてくれた前職場にはとても感謝をしています。円満に退職をすることができたので、自分が結婚式を挙げる際には前職の上司を来賓で招くこともできています。

まとめ 働き方を考える

介護の現場でリーダー(主任)となり、介護職員の取りまとめや施設内のマネジメント業務に取り組んでいくか。介護リーダー(主任)になるために保有資格や経験年数の規定はありませんが、厚生労働省による方針では、5年程度の実務経験を積んだ介護福祉士が介護リーダーとして望ましいとされています。しかし、経験年数を積めば介護リーダーになれるわけではなく、指導力やマネジメント力、コミュニケーション、リーダーシップが求められます。また、ポストが空いていない場合にはリーダーになれないという場合もあります。仕事を続けていく中で、出世の道があるかどうかを判断し、場合によっては異動を申し出る、転職をするという判断が必要になります。

ただやみくもに転職を繰り返せばよいわけではありません。経験を積み、必要とされる人材になることが大切です。

介護福祉士の国家資格取得後、5年の実務経験を積むとケアマネージャーの受験資格を得ることができます。また、大学や専門学校の通信教育を受けることで社会福祉士の受験資格を取得し、合格をすれば相談員としての道も切り開けます。ケアマネージャーや社会福祉士の主な業務としては主に、相談業務になります。現場での経験を活かし、直接支援をする立場から利用者さんとサービス事業所との橋渡しをする立場になるのか。人によって選択はそれぞれですが、資格を取っておけば後にどんな仕事にも役立つのが福祉の資格です。自身のライフステージに合わせ、学習に取り組める環境がある時期に資格を取ることをお勧めします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。